松居大悟(まついだいご)
映画監督・ゴジゲン主宰
1985年生まれ、福岡県出身。映画監督・俳優として活動する傍ら、劇団「ゴジゲン」を主宰、またミュージックビデオの制作やラジオパーソナリティ(J-WAVE 81.3FM「JUMP OVER」日曜23:00〜23:54)などマルチに活躍。現在、監督・脚本を手がけた恋愛映画『君が君で君だ』が全国の映画館で絶賛公開中。また、7月12日より始まる、フジテレビ木曜劇場『グッド・ドクター』にも出演する。

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池松壮亮(いけまつそうすけ)
俳優
1990年生まれ、福岡県出身。俳優としてデビューして以来、さまざまな映画・ドラマ・舞台・CMなどで活躍。近年の主な出演作品に、映画『デスノート Light up the NEW world』、『夜空はいつでも最高密度の青色だ』、『万引き家族』、ドラマ 『宮本から君へ』など。松居大悟監督の手がける『君が君で君だ』では、主演を務める。
良い意味で、“油断できない”相手
繋がって良かったというより、これからも繋がっていたいと思うのは、俳優の池松壮亮。監督と俳優という関係性を超えて、ともに作品を作る仲間として切磋琢磨し合える関係です。同郷の福岡県生まれで役者をしている彼のことを知って「何か一緒に作れたらなぁ」と思い、2010年に初めてラジオドラマでご一緒した時からつき合いが始まりました。当時は彼も上京したばかりでしたね。
その後、今はなき「青山円形劇場」で一緒に舞台をやったりもしました。ですが、キャリアも経験もなかったので、愛情を伝えられず暴力を振るってしまうという話を、役者のみんなにうまく伝えることができなかったんです。ところが、座長を務めていた池松が感覚的に理解してくれて。それ以来、“戦友”として映画やドラマ、ミュージックビデオに出てもらうようになりました。
彼は僕より5歳も年下なんですが、おじいちゃんみたいに達観していて(笑)。僕が仕事や色々なことで悩むと、常に刺激を受けるようなアドバイスをくれるんです。そんな関係なので、自分がオリジナルの映画で最初に作ろうとした時、頭の中で彼が必要だと思って。映画『君が君で君だ』の主演をお願いしました。
初めて台本を渡した時に、「このテーマに挑むのは難しいと思うけど、やる」と快諾してくれた上に、夜中に8時間くらい台本について話し合うのに3日間もつき合ってくれました。ご飯でも食べながらサクッと話す感じかと思っていたら、「1行目からいくね」と、台本に書かれたシーン1の1行目のセリフからト書きまで読んでくれました。サボったり、ワイワイすることもなく淡々と作品について語り合ったのですが、お金も発生しないし、マネージャーもいない中、ただ作品に魂を込めるために時間を作ってくれたことが嬉しかったです。
そういう関係性ではあるものの、その一方で僕が少しでも気を抜いたり、ダサいことをしたら、すぐに切られるような緊張感のある関係でもあるんです。だからこそ、自分も油断せずに色々な作品に魂を込めることができるのかもしれません。
READ MORE 20代前半の頃は、独りよがりの考えが強かった
昔は演劇を作る時も、自分の考えていることが絶対的に正しくて、他人の意見なんて自分ほど考えていないアイデアだと、寄せ付けないようにしていたんです。苦しむことが正しいと思い込んでいたので、飲んだり寝ているような時間があるなら少しでも面白いことを考えろと思っていましたね。でも、次第に辛くなってきましたし、自分が正しいばかりではないことに気づいたんです。
映画も演劇も「総合芸術」なので、各セクションのスタッフは誰よりもそのセクションを通して作品のことを考えていますし、そういう人たちの輪の中で生まれるアイデアもあるんですよね。作品を作る上で、このメンバーだから、この作品が生まれたというのが一番良い形だと僕は思います。自分の持っているアイデアが、他の人のアイデアによってより良いものになる。ロケハンをしてみたら、この場所がいいねとか、カメラマンや照明部の提案、スタイリストの衣装で、自分が表現したいことが深くなった時には、心から幸せだなぁと感じますね。自分の頭の中の世界だけで突き通すなら、小説を書いたり、彫刻を作ればいい話なので(笑)。
そういう意味でも、自分にとって表現として新しいことに挑戦した今回、池松君と一緒に出来て良かったです。あとは、「クリープハイプ」の尾崎世界観! 最初に池松君が主演を務めた舞台の主題歌を尾崎君が歌ってくれたのがきっかけで、あの頃は3人で会って、よく生き方や表現について語り合っていました。二人とも尊敬できますし、色々と刺激をくれるんです。池松君が芝居をすること、尾崎君が歌うこと、僕が映像を作ることというのは、今でもどこか根っこの部分では繋がっている気がしています。
READ MORE 仕事の切り替えに最適なバッグ
舞台や映画、ドラマ、ラジオと色々な仕事に携わっている上で、一番大変なのは切り替えることなんですよ。舞台の稽古や映画の撮影が始まってしまえば、一つの作品に集中できるので楽なのですが、それ以外の時はそれぞれの仕事ごとに別のスタッフがいるので、切り替えがしんどくて……。
「なぜ映画の脚本があがらないんだ」と言われても、「いや、今はこっちの仕事をやっているので」とは言えないですからね。だから、仕事のモードを適宜切り替えるのにものすごくエネルギーが必要なんです。そんな時に、ドッキングしたバッグを取り外して使えるというのは気持ちを切り替えるために良いですよね。次の仕事に必要なものだけを切り離して、出かけることもできますので。
〈UNCAR COMPOUNDED〉のバックパックは、デザインがシンプルに見えて、意外と中を開けるとポケットが多いですし、少し出る時にモバイルケースを取り外して、財布やスマホを入れて持ち歩けるというのも便利です。あと、よく肩掛けのトートバッグを使っていたのですが、重い荷物を入れると肩が痛くなるんですよね。それが嫌で荷物をできる限り少なくしていたんですが、このバックパックは背負いやすいですし、ある程度荷物を入れてもあまり重く感じないので重宝しています。
READ MORE 仕事やライフスタイルに欠かせないモノ
いつも持ち歩いているのは、ノートパソコン、手帳、ペン、スケッチブック。財布……、ツボを押してしまう病気なのでツボ押し用の棒(笑)。昔から、白黒ハッキリしているよりも曖昧なものが好きだったので、夕暮れのようなオレンジカラーのモノを愛用しています。自分の作品でも物語と現実の狭間を表現することが多いです。あとは、映画のチラシや、俳優として出演するドラマの台本(取材時には、フジテレビ木曜劇場『グッド・ドクター』の台本が入っていました)を持ち歩いています。
BACKPACKS MOBILE CASES Photo: Yuco Nakamura
Interview: K-suke Matsuda
Special Thanks: J-WAVE